《世にも奇妙な物語》
いつだったか、ある冬の日に、クリニックの帰りに母と落ち合うことになっていて、電話するとクリニックから真っ直ぐ行って国道を渡った所の洋食店にいるということだった。一人の時は近くのファミレスに行くのがお決まりだったが、母は最初あまり好まず。というわけで、真っ直ぐ行くとドラッグストアがあり、広めの駐車場があり、仕切りもない所に建物が立っているのだが、まさかそこの一階のフロアにイタリアンカフェが入っているとは思わなかった。入ってみるまでは、絶対にわからないだろう。
入ってみると、お客さんもまばらながらいて、恐らく近所の人か、常連の客なのだろう。慣れたような、大人な雰囲気の店だった。テーブルの下には荷物用の籠が置いてあり、脇に置くのがマナーなようだ。身内の者が迎えに来てくれることになっていて、それを待つ間、時間があるので、パスタを注文した。熱々のパスタが運ばれてきて、フォークでクルクル巻きながら、何か妙な感じを持ちながら「この店、静かね。、、パスタは美味しい。安いわね。こんなお店あったんだ。けど今度来た時、無かったりして、ふふふ、”世にも奇妙な物語 ”。」と言ったものだった。私も、妙に饒舌だった。会計を済ませ、店を出る時も妙な感じだった。何か魔法の店から出るかのように。
1ヶ月後、また、母と落ち合うのに電話すると、ドラッグストアにいるとのことだった。先月に落ち合った店が閉まっているとのこと。ドラッグストアまで行き、帰りの道すがらその店のドアを見ると、<<28日を以て閉店いたしました >>と張り紙がしてあった。「ほら、何か妙な感じがしたもの。本当になかったね」。