ジョン・コナリー著「失われたものたちの本」を読みました。とても素晴らしい体験を得られた本でした。既にご存知の方も多いかと思いますが、この本は、本の帯にあるように、”宮崎駿推薦 僕をしあわせにしてくれた本です。出会えて本当に良かったと思っています』ともあり、Amazonの商品ページにも、『「君たちはどう生きるか」が影響を受けた本』とある。と・こ・ろ・が、いやしかし、私は、ジブリ映画に疎く、恥ずかしながら、このアニメもまだ見ていないのでなんともいえないのですが、「君たちはーー」を検索してみると、「原作・脚本・監督:宮﨑 駿」となっている。うーん、映画を見てみないとなんともいえないが、何かが支える。両方見た人ならお分かりになられることでしょうが、かといって、DVDまで買って観ようとは思わない。レンタルになるのを待つことにする。
この本、本が大好きな少年が同じく大好きな母親を亡くし、まだ悲しみを拭いきれないうちに、父親が再婚。そして、赤ちゃんが生まれる。弟だ。名前はジョージー。少年デイヴィッドは、未だこの継母と弟を受け入れられず、、、。この少年デイヴィッドは、本の囁きが聞こえるようになって、”異世界”に足を踏み入れることになる。母が呼ぶ声に沈床園へ誘い出されると、、、。ここから、彼の異世界での冒険が始まるのであった。
私、こうした物語風の小説をこれまであまり読んだことがなく、いや、初めてと言っていい。どう評価していいかわからないのだが、とても完成度が高いと思う。ストーリー展開といい、また、それは奥深く、描写がリアルで、読んでるうちから自ずと想像力を働かせずにはおられない。また、少年デイヴィッドの性格の良さ、強さにつられ、まるで3Dの世界に入り込んだかのよう。グロい描写であっても、仮に自分が獣だったら、また、ちょっと想像力を働かせれば、例えば、大昔の戦争だとかを想像してみると、その異常さに浸る暇などないのである。そんなのは、遠い昔の本能がこの飽和した世の中にあって、名残りとして疼くものなのだろう。そんな欲望を刺激するようなグロさではなく、あくまで、必然であり、リアルなのである。推理小説的なところもあり終わり間際には全てに合点がいくのであった。
で、どうやってこの本を見つけたのか、ですが、私、ダフネ・デュ・モーリアという作家が好きでして、Amazonでその新刊を見つけたんですね。その時そのページの片隅にこの本の画像を見つけまして、何か”囁き”が聞こえたのでしょうか?それで開いてみたら、、、。
私、基本、想像力は可能な限り自分で働かせるもの、という嗜好を持っていまして、原作に重きを置くところがあるのでした。人の考えたイメージで、例えば史実などを見たくないのです。漫画しかり、アニメしかりです。それが原作であればまた別ですけどね。
面白かった。お薦めです。