アプリコットな日々

気長にブログ始めてます。

映画「アラビアンナイト三千年の願い」の感想とダイバーシティーに関する一考察

当たり前のことのようですが、敢えて前置きさせて下さい。昨今盛んに叫ばれているダイバーシティー(多様性)という言葉。互いに互いを認め合うことは大事だが、”多様性”という価値観を相手の国、人種、文化をねじ伏せながら、押し付けるというのは、なんだか違うんじゃないかなぁと思う次第でありました。

すべての問題は、経済とセットになっていることに尽きると思います。自然は守りましょう、時代遅れな社会は、民主主義化して都市化しましょうーーー。グルーバリゼーションの欺瞞です。私が思うに、どうやら、人間というのは、経済的にあるいは軍事的にある程度満たされれば、後は、同調性を持たなくなるということ。そこへ、リベラルだのフェミニズムだのダイバーシティーだのいったところで、反発しか起きないのですよ。それに追い討ちをかけるように上からの圧力で価値観を植えつけようとするのは、方法論としてどうかな?と思うのです。そんなことをやっていたら、いつまで経っても戦争が正当化されていく。

もっと、文化、芸術性を高めて、価値観が醸成されて普遍化される、というのならば良いと思うのですが、これは、一見すると良いように思えますが、芸術って放っておくと野放図となり当てにならないところもあるということ。これにはやはり、法規制が必要なんですね。表現の自由を享受しつつ公共の福祉のもと、公序良俗にも気をくばらなければならないとか、そういった倫理規制があるじゃないですか。しかし、これも、自由を享受している国だから通用する観念であって、こうなってくると、何が人間にとって一番幸せな社会かーー。政治や文化とは何か、という問いに突き当たると思のですが、時に政治が文化を作ることもあれば、政治が文化を破壊する場合もある。どちらが正しいか。

今は、だからこそ、ダイバーシティー~多様性~を認めることが大事なのだと思います。その線引きが乱暴なのが問題なのだと思うのです。宗教に関してもですね、人間誰しも信仰心を持っている。教義や解釈は人様々ですが、例えば無神論者でも、困った時の神頼みみたいなことはあると思います。その上に文化が作られていて、様々な宗教がある訳ですが、ここでも、ダイバーシティーの観念が必要かと思います。何が互いに共通しているか、そして互いの文化に対する理解を深める。何が自分たちにとって必要かということをもっと吟味するといいと思うのです。そこに最も平和的で真の解決の糸口があるのではと思うのです。人間には言葉がある。芸術性がある。善と悪の分別もあるのです。

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さて先日「写真と文」という、はてなに設立さている同人誌に寄稿した文が公開されました。

こちらになります。

hiyokomagazine.hatenablog.com

ここに載せた写真、英語学習用の週刊雑誌一年分なのですが、毎号「シネマ倶楽部」という見開き一面に近日公開の映画が紹介がされていて、その読みかけの週、昨年の2月17日号に、『アラビアンナイト 三千年の願い』という映画が紹介されていました。ちょうど1年前の記事ですから、この映画は購入もレンタルも可能。興味を引く内容だったので、Amazonプライムビデオで、早速視聴いたしました。

話の筋立てとしては、ナラトロジー(物語を研究する学問)の女性の博士に現れた魔神(ジン)との対話によって、博士の考えーーーかつては物語として説明されていた未知の力が科学によって解明され「あらゆる神々や物の怪は元々の目的を終え、やがては単なる比喩の存在へと化していくーーー」が変化し、魔神~ジン~を愛し信じるようになる、といったもの。博士の前にはその前にも何度か他の魔人も出没する。

さてその対話ですが、これまでの経緯を回想する形で話が展開します。ソロモンとシバの女王から始まり、その間、何度か小壷やガラスの小瓶に封じ込まれ、3000年という年月を経て、その小瓶がトルコのバサールで博士の手に渡ることになったのでした。

テーマとしては、興味深かったのですが、それとは別に気になったのが、そのキャスティングです。アラブの話が元になっているのに、魔人はどうみてもアフリカ系の黒人。そしてその博士役の人にも、多少堅苦しさを感じた。この辺りに、最近の映画とあって、所謂ダイバーシティーの制約みたいなものを感じたのでありました。

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さて、本元のアラビアンナイト千夜一夜物語)ですが、私、アラビアンナイトは、アニメでしか知らず、ほとんど内容も記憶に残っていない。そこで、いくらか地中海あたりの古典を読みかじっている者として、遅ればせながら、文庫本(Kindleですが、面白いので紙媒体でも入手しようと思ってますが)で読んでいるところです。拾遺されたもので特に有名な話を拾ったものですが、この本を全部読んでみて物足りなかったら、後は図書館で借りて読もうと。

以上、映画を見てちょっと頭を過ったことについて、書いて見ました。悪しからず宜しくお願い致します。